Pythonを使用した1次元信号のウェーブレットベースのノイズ除去
目次
- 波ウェーブ変換に基づくノイズ除去の手法の説明
- 画像処理ライブラリであるpsychic.imageの説明
- scikit-imageパッケージでのウェーブレットを用いたノイズ除去の説明
- ECG信号のノイズ除去の例コードの説明
- 音声信号のノイズ除去の例コードの説明
- ノイズ除去の結果の評価方法
【🌊】波ウェーブ変換に基づくノイズ除去の手法の説明
波ウェーブ変換は、信号処理および画像処理における重要な手法の一つです。ノイズが含まれる信号や画像を処理する際に、有用な情報を保持しながらノイズを除去することができます。
波ウェーブ変換に基づくノイズ除去の手法は、以下の手順で行われます。
- 入力信号をウェーブレット係数に分解します。
- 近似係数と詳細係数の2つの係数群に分けます。
- ノイズ除去のために、係数の閾値処理を行います。
- 閾値処理された係数を逆ウェーブレット変換して、ノイズ除去後の信号を得ます。
ツールとしては、Pythonのscikit-imageパッケージおよびPsychic Imageパッケージが使用されます。これらのパッケージには、ウェーブレットベースのノイズ除去アルゴリズムが実装されており、信号や画像のノイズ除去に効果的です。
【📦】Psychic Imageパッケージの説明
Psychic Imageは、Pythonの画像処理ライブラリであり、scikit-imageパッケージを拡張したものです。このパッケージには、さまざまな画像処理ルーチンが提供されており、画像の復元などに利用することができます。
Psychic Imageパッケージの中でも、ウェーブレットベースのノイズ除去機能が提供されており、画像に対するノイズ除去に使用されます。ただし、この機能は元々画像用に開発されていましたが、1次元の信号にも適用することが可能です。
使用する主な関数は、「estimate_sigma」と「denoise_wavelet」です。また、閾値推定には「ベース縮小法」と「ビジュアル縮小法」の2つのメソッドがあります。デフォルトでは、「ベース縮小法」が使用されます。
以下は、Pythonでの「denoise_wavelet」関数の基本構文です。
y = denoise_wavelet(x, wavelet, mode="soft", wavelet_levels=3, method="base_shrink", rescale_sigma=True)
x
:ノイズのある入力信号
wavelet
:使用するウェーブレットの種類(デフォルトは"db1"
)
mode
:閾値処理の種類(デフォルトはソフト閾値処理)
wavelet_levels
:ウェーブレット変換の分解レベル(デフォルトは3)
method
:閾値の推定方法(デフォルトはベース縮小法)
rescale_sigma
:ノイズの分散値を再スケールするかどうか(デフォルトはTrue)
以上が、Psychic Imageパッケージのウェーブレットベースのノイズ除去機能の基本的な説明です。
【🎵】ECG信号のノイズ除去の例コードの説明
以下は、PythonでECG信号のノイズ除去を行うための例コードです。
import numpy as np
import pywt
import matplotlib.pyplot as plt
# パッケージのインポート
# 必要なパッケージのインポート
import numpy as np
import pywt
import matplotlib.pyplot as plt
# サンプルデータの読み込み
x = np.load("ecg_signal.npy")
# ノイズの分散値の定義
noise_variance = 0.05
# ノイズを加えたデータの作成
x_noisy = x + np.random.normal(0, np.sqrt(noise_variance), len(x))
# ノイズ除去
xd_noise = pywt.denoise_wavelet(x_noisy, wavelet="sym8", mode="soft", wavelet_levels=3, method="base_shrink", rescale_sigma=True)
# グラフのプロット
plt.figure(figsize=(10, 6))
plt.plot(x_noisy, label="Noisy ECG Signal")
plt.plot(xd_noise, label="Denoised ECG Signal")
plt.xlabel("Time")
plt.ylabel("Amplitude")
plt.legend()
plt.show()
この例では、ECG信号を読み込んで、ノイズを加えた後、ウェーブレット変換によるノイズ除去を行っています。信号の中に含まれるノイズが効果的に除去されていることが確認できます。
【🎶】音声信号のノイズ除去の例コードの説明
以下は、Pythonで音声信号のノイズ除去を行うための例コードです。
from scipy.io import wavfile
import numpy as np
import pywt
import matplotlib.pyplot as plt
import sounddevice as sd
# パッケージのインポート
# 必要なパッケージのインポート
from scipy.io import wavfile
import numpy as np
import pywt
import matplotlib.pyplot as plt
import sounddevice as sd
# オーディオファイルの読み込み
fs, x = wavfile.read("flute.wav")
# ノイズの分散値の定義
noise_variance = 0.05
# ノイズを加えたデータの作成
x_noisy = x + np.random.normal(0, np.sqrt(noise_variance), len(x))
# ノイズ除去
xd_noise = pywt.denoise_wavelet(x_noisy, wavelet="sym8", mode="soft", wavelet_levels=3, method="base_shrink", rescale_sigma=True)
# オーディオ再生
sd.play(x_noisy, fs) # ノイズのある音声
sd.wait()
sd.play(xd_noise, fs) # ノイズ除去後の音声
sd.wait()
この例では、wavファイルから音声データを読み込み、ノイズを加えた後、ウェーブレット変換によるノイズ除去を行っています。音声再生を通じて、ノイズ除去が正しく行われていることを確認できます。
ノイズ除去の結果の評価方法については、「ピーク・シグナル・ノイズ比(PSNR)」や音声の聴取などが一般的に使用されます。