カスタムジム環境の作成方法 Part1
目次
- はじめに
- ジム環境のカスタマイズ
- 2.1 ジム環境の作成
- 2.2 状態の定義
- 2.3 行動の定義
- 2.4 状態遷移の定義
- 2.5 報酬関数の定義
- カスタムジム環境の定義
- 3.1 クラスの定義
- 3.2 初期化メソッド
- 3.3 リセットメソッド
- 3.4 ステップメソッド
- 3.5 レンダリングメソッド
- 3.6 クローズメソッド
- 3.7 シードメソッド
- まとめ
1. はじめに
このレッスンでは、インベントリ管理問題のためのカスタムジム環境の作成を始めます。ジムにはすでにカードプールV1などの準備された環境がありますが、インベントリ管理問題のような現実の問題に対しては準備された環境が存在しません。そのため、準備された環境がない場合はカスタムジム環境を作成する必要があります。これは、実世界の問題の状態、アクション、状態遷移、報酬関数を定義できる限り行うことができます。
2. ジム環境のカスタマイズ
2.1 ジム環境の作成
カスタムジム環境を定義するには、ジムのGitHubリポジトリから最新のバージョンのジムを取得します。次に、ジムのコアファイル(core.py
)を開き、基本クラスgym.Env
を確認します。この基本クラスは、ジム環境が従う必要があるインターフェースを定義しています。
2.2 状態の定義
インベントリ管理問題では、状態は以下の要素で構成されます。
これらのパラメータを用いて、次の状態を求めることができます。
2.3 行動の定義
インベントリ管理問題では、行動はアクション空間内の値として表されます。アクション空間は、在庫の補充量などの要素を含みます。
2.4 状態遷移の定義
次の状態は、現在の状態と選択されたアクションに基づいて求めることができます。具体的には、式を用いて次の状態を計算することができます。
2.5 報酬関数の定義
状態遷移が行われた際に得られる報酬は、次の式を用いて計算することができます。この式は、過去のアクションや在庫量などの要素によって定義されます。
3. カスタムジム環境の定義
3.1 クラスの定義
カスタムジム環境を定義するためには、gym.Env
クラスを継承したクラスを作成する必要があります。クラス名は"InventoryEnv"など、適切な名前を与えてください。
3.2 初期化メソッド
__init__
メソッドでは、環境の観測空間と行動空間を定義する必要があります。それぞれをself.observation_space
とself.action_space
のインスタンス変数に代入してください。
3.3 リセットメソッド
reset
メソッドは、環境を初期状態にリセットするためのものです。このメソッドは、初期状態の観測値を返す必要があります。
3.4 ステップメソッド
step
メソッドは、引数として受け取ったアクションを実行し、次の状態の観測値、遷移によって得られた報酬、現在の観測値が終端状態かどうか(bool値)、およびオプションの追加情報を返す必要があります。
3.5 レンダリングメソッド
render
メソッドは、環境の現在の状態を表示するために必要です。状態を視覚化する場合は、このメソッドを実装してください。
3.6 クローズメソッド
close
メソッドは、環境で使用されているすべてのリソース(スレッド、グラフィカルウィンドウ、ブラウザなど)をクリーンアップするために必要です。必要な場合にのみこのメソッドを実装してください。
3.7 シードメソッド
seed
メソッドは、環境で使用されているすべての乱数生成器のシードを設定するために使用されます。乱数の再現性やテストのために有用です。
4. まとめ
このレッスンでは、インベントリ管理問題のためのカスタムジム環境の作成方法について学びました。ジム環境をカスタマイズするためには、状態の定義、行動の定義、状態遷移の定義、報酬関数の定義を行う必要があります。また、これらの定義をもとに、クラスを作成し、必要なメソッドを実装していきました。