インテルアークA770 / A750レビュー: ドライバの問題に注意

Table of Contents:

1. インテルアークグラフィックスカードについて
2. スペックの概要
3. 性能テスト結果
4. DX11パフォーマンス
5. Ray Tracingの性能
6. カードのデザインと冷却性能
7. 騒音と消費電力
8. オーバークロックの可能性
9. 投資の価値はあるのか
10. 今後の展望

インテルアークグラフィックスカードについて

インテルは、最新のアルカイストアーキテクチャを搭載した最初のディスクリートGPUであるインテルアークシリーズの最新モデル、a750およびa770の性能を向上させました。これらのカードは、AMDやNVIDIAに対抗し、低から中程度の性能を求めるユーザーにもアピールすることを目指しています。本記事では、インテルアークカードの詳細な仕様や性能テスト結果、デザインや冷却性能、騒音や消費電力、さらにはオーバークロックの可能性について詳しく解説します。最後に、これらのカードの投資価値について考察し、今後の展望についても触れます。

スペックの概要

インテルアークa750およびa770は、アルカイストアーキテクチャをベースにした高性能なグラフィックスカードです。両カードは、IntelのACM G10シリコンを使用しており、そのコアデザインは非常に似ています。ただし、a750はいくつかのキーアーサンにおいて削減されており、a770よりも性能が若干低くなっています。具体的には、a750は28個のXEコアを搭載しており、各コアには16個のベクトルエンジンがあります。一方、a770は32個のXEコアと対応するベクトルエンジンを搭載しています。両カードともに256ビットのメモリインターフェースを採用しており、225ワットのトータルボードパワーレーティングを持っています。

性能テスト結果

Assassin's Creed Valhalla

Assassin's Creed Valhallaにおいて、a750は1080pで平均66 FPS、a770は平均72 FPSを記録しました。両カードともRTX 3060よりも速い結果となりました。1440pでも両カードはRX 6600を上回る性能を発揮しました。

Cyberpunk 2077

Cyberpunk 2077では、a750とa770の1%の低フレームレートが非常に不安定であることがわかりました。平均フレームレートではRTX 3060とほぼ同等の結果となりますが、一貫したフレームタイムは得られませんでした。

Dying Light 2

Dying Light 2においては、1080pでa750がRTX 3060よりも13%高速、a770がRX 6600 XTよりも17%高速であることがわかりました。1440pでも両カードは良好な性能を発揮し、特にa770はRTX 3060 TIに匹敵する結果となりました。

Far Cry 6

Far Cry 6では、a750がRX 6600に僅かに劣る結果となりましたが、1440pではRX 6600 XTを上回る性能を発揮しました。

以上のように、各ゲームにおいてIntelアークカードの性能は異なる結果を示しました。一部のゲームでは競合他社のGPUを上回る性能を発揮する一方、特定のタイトルでは劣っていることもあります。

DX11パフォーマンス

IntelアークカードのDX11パフォーマンスは非常に低いものでした。特にCyberpunk 2077やDays Goneなどの一部のタイトルでは、フレームタイムの安定性が極端に悪く、プレイ体験を損なう結果となりました。IntelはDX11タイトルの最適化に取り組んでいますが、現時点ではまだ完全な対応が難しいようです。

Ray Tracingの性能

IntelアークカードのRay Tracing性能は非常に優れています。特にMetro Exodus Enhanced EditionやResident Evil Villageなどのゲームでは、競合他社のGPUを上回る性能を発揮しました。Ray Tracingへの対応が求められる最新のゲームでも、Intelアークカードは十分な性能を発揮します。

カードのデザインと冷却性能

インテルアークカードはスリムなデザインでありながら、効果的な冷却性能を持っています。2つの90mmファン、銅製バポチャンバー、アルミニウムフィンスタックが備わっており、比較的低い温度を維持しています。また、3つのDisplayPort 2.0コネクタと1つのHDMI 2.1コネクタを備えており、多様なディスプレイに接続することができます。

騒音と消費電力

インテルアークカードの騒音レベルは比較的低く、ファン速度を増加させた場合でも耳障りな音ではありません。消費電力については、a770がa750よりもわずかに高い値を示しました。ただし、いずれの場合も一般的なPCの範囲内であり、問題とは言えません。

オーバークロックの可能性

Intelアークカードはオーバークロックに対して相応の余地があります。IntelのArc Controlソフトウェアを使用することで、電圧やパフォーマンスブーストを調整することができます。オーバークロックにより性能を向上させることができますが、消費電力も増加するため、十分な冷却を確保する必要があります。

投資の価値はあるのか

現時点では、Intelアークカードはまだ改善の余地があります。ドライバの安定性や互換性の問題、DX11パフォーマンスの低さなどが課題となっています。そのため、一般のユーザーにはあまりおすすめできない状況です。ただし、Ray Tracingの性能や一部のゲームでの優れたパフォーマンスなど、明確な良い点も存在します。今後のアップデートに期待したいところです。

今後の展望

インテルはアークシリーズにおいて多くの課題に直面していますが、これは初のディスクリートGPUのローンチであることを考えれば当然のことです。現在のソフトウェアの問題や競合他社との差を埋めるためには、インテルには時間がかかるでしょう。しかし、アルカイストアーキテクチャやRay Tracingの性能など、明確なポテンシャルがあることは確かです。今後の展開に注目が集まること間違いありません。

資料：

1. インテル公式ウェブサイト: www.intel.com
2. kikguruのレビュー記事: www.kikguru.net/intel-arc-a750-and-a770-review