AMD Ryzen CPU性能チューニング術
目次
🚀 第1部:AMD Ryzen CPUの性能チューニングノブ
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第1章:XFR(Extended Frequency Range)
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XFRの原理
- XFRのアルゴリズム
- Ryzen CPUに内蔵されたセンサー
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XFRの競争上の優位性
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第2章:PB(Precision Boost)
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第3章:PBO(Precision Boost Overdrive)
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PBOの機能
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PBO2(Precision Boost Overdrive 2)
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PBO Plus
🚀 第2部:Zen PlusおよびZen 2プロセッサの性能向上
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第1章:XFR2およびAutoOC
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第2章:PBO PlusおよびPBO2
🚀 第1部:AMD Ryzen CPUの性能チューニングノブ
XFR(Extended Frequency Range)
XFRの原理
AMDのRyzen CPUに搭載されたXFR(Extended Frequency Range)は、エンスージアスト向けの冷却装置と共に使用することでCPUのブーストを可能にします。具体的には、条件次第でPrecision Boostの最大ブーストを超えてCPUをオーバークロックできます。この機能はRyzen 1000シリーズでは最大2コア、Ryzen Threadripper 1000シリーズでは最大4コアまで可能です。
XFRの競争上の優位性
XFRの最大の競争上の優位性は、伝統的な100メガヘルツの代わりに、25メガヘルツ単位でのブーストが可能であることです。理論上、これによりさらなるシーンでのブーストや高い平均パフォーマンスが実現できるはずです。
PB(Precision Boost)
PBとは
PB(Precision Boost)は、AMDのコアパフォーマンスブーストテクノロジーの進化形であり、CPU内のセンサーからの入力に基づいて最適な周波数と電圧を決定するプロプライエタリなアルゴリズムを使用しています。
PBの進化
ZenプロセッサではPBの改良版であるPrecision Boost 2が導入され、アクティブなコアの数に応じて周波数をブーストするとともに、最大で500メガヘルツまで周波数を向上させることができるようになりました。
PBO(Precision Boost Overdrive)
PBOの機能
PBO(Precision Boost Overdrive)は、Precision Boost 2のオーバークロック拡張機能であり、ユーザーにツールを提供してPrecision Boost 2アルゴリズムを調整し、より高い周波数を実現します。ただし、PBOの使用はオーバークロックに該当し、したがって保証の対象外となります。
PBO2(Precision Boost Overdrive 2)
PBO2は、Zen 2のPBOの実装を拡張したものであり、Zen 2と同様にPPT、TDC、EDCなどのオーバークロック制御を提供します。また、カーブオプティマイザーと呼ばれる機能を導入し、各CPUコアの電圧周波数曲線を個別に調整することが可能です。
🚀 第2部:Zen PlusおよびZen 2プロセッサの性能向上
XFR2およびAutoOC
XFR2の比較
XFR2は、通常のPrecision Boostの最大ターボを超えることができる点で従来のXFRと異なります。また、Zen 2ではXFRはAutoOCと置き換えられ、ユーザーが最大オーバークロックを手動で設定できるようになりました。
AutoOCの概要
AutoOCは、CPUの最大周波数の天井値を上げることができますが、実際のブースト周波数はPrecision Boost 2アルゴリズムによって制御されます。また、スカラーと呼ばれる設定を提供し、Precision Boost 2アルゴリズムがより高い電圧と周波数を積極的に追求するように促すことができます。
PBO PlusおよびPBO2
PBO Plusの新機能
PBO Plusでは、オートオーバークロック機能を提供し、CPU温度が低い場合にPrecision Boostの最大周波数を超えるような設定が可能となります。また、スカラーと呼ばれる設定を提供し、電圧と周波数をより積極的に追求することができます。
PBO2の改善点
PBO2は、PBOの機能をさらに拡張し、カーブオプティマイザーを導入し、各CPUコアの電圧周波数曲線を個別に調整できるようになりました。
この他、AMDのZen 3プロセッサではPrecision Boost 2を引き続き利用しており、PBOの機能もさらに拡張され、Precision Boost Overdrive 2として展開しています。具体的には、PBO2に加えてカーブオプティマイザーを導入し、各CPUコアの電圧周波数曲線を個別に調整できるようになりました。